今日は何の日?
6月29日は星の王子様の日~!
「星の王子さま」や「夜間飛行」のなどの作品で知られるフランスの作家アントワーヌ・ド・サンテグジュペリが、1900年のこの日、フランスのリヨンに生まれました。
彼は飛行士でもあり、リビア砂漠に不時着した事件が「星の王子さま」のヒントになったといいます。
「星の王子さま」は、フランス人の飛行士・小説家であるアントワーヌ・ド・テグジュペリの小説です。
星の王子さまは彼の代表作であり、1943年にアメリカで出版されました。
2015年現在、初版以来、200以上の国と地域の言葉に翻訳され、世界中で総販売部数1億5千万冊を超えたロングベストセラーです。
星の王子さまは児童文学ながら、子供の心を失ってしまった大人に向けての示唆に富んでいます。
「大切なものは、目に見えない」を始めとした本作の言葉は、生命とは愛とはといった人生の重要な問題に答える指針として広く知られています。
この作品の元になったといわれる、1935年のリビア砂漠での飛行機墜落事故の体験は、サンテグジュペリによる随筆集「人間の土地」で語られています。
素朴な主人公や脇役の姿が挿絵で描かれていますが、これはサンテグジュペリ本人が描いているそうで、1943年の初版から使われていて、作品とともに愛されています。
物語の前置きでは、この本を、フランスに住んでいて困難に陥っているあるおとなの人に捧げると述べられています。
この献辞にある「おとなの人」「子どもだったころのレオン・ヴェルト」とは、作者の友人のジャーナリスト、レオンヴェルトを指しているそうです。
当時は第二次世界大戦中で、ヴォルトはヨーロッパにおいてナチス・ドイツの弾圧対象となっていたユダヤ人でした。
映画監督のオーソン・ウェルズも実写とアニメーションの融合による映画化を考えていた事があり、アニメーション部分はディズニープロに依頼していたようなのですが、実現はしなかったんだそうです。
「星の王子さま」あらすじ
操縦士の「ぼく」は、サハラ砂漠に不時着します。
なんとか飛行機を修理して砂漠を脱出しなければなりません。
誰もいないであろう場所で孤独で不安な夜を過ごした翌日、1人の少年と出会います。
話すうちに、少年はある惑星からやってきた王子さまである事を知ります。
王子の星は家ほどの大きさしかなく、そこにはよその国からやって来た1輪のバラの花がありました。
王子はバラの花を美しいと思い、大切に世話をしていましたが、ある日バラの花とけんかした事をきっかけに、他の星の世界を見に行くために旅に出ました。
彼がこれまで6つの星を回ってきた話を「ぼく」は聞きます。
- 自分の体面を保つことに汲々とする王
- 賞賛の言葉しか耳に入らない自惚れ屋
- 酒を飲む事を恥じ、それを忘れるために酒を飲む呑み助
- 夜空の星の所有権を主張し、その数の勘定に日々を費やすビジネスマン
- 1分に1回自転するため、1分ごとにガス灯の点火や消火を行なっている点燈夫
- 自分の机を離れたこともないという地理学者
といった、どこかへんてこな大人ばかりがいる星でした。
6番目の星にいた地理学者の勧めを受けて、王子は7番目の星である「地球」へとやって来ました。
王子は地球で数千本のバラの群生に出会いました。自分の星の1輪のバラを愛おしく特別に思っていた王子でしたが、ありふれたつまらないものであったのかと思い、泣いてしまいます。
そんな王子のところに、キツネが現れます。
悲しさを紛らわせるために遊んで欲しいと頼む王子に、仲良くならないと遊べないとキツネは言います。
キツネによれば「仲良くなる」とは、あるものを他の同じようなものとは違う特別なものだと考える事、あるものに対して他よりもずっと時間をかけ、何かを見るにつけそれをよすがに思い出すようになる事だと言います。
これを聞いた王子は、いくらほかにたくさんのバラがあろうとも、自分が美しいと思い精一杯の世話をしたバラはやはり愛おしく、自分にとって一番のバラなのだと悟ります。
キツネと別れる時になり、王子は自分がキツネと「仲良く」なっていた事に気づきます。
別れの悲しさを前に「相手を悲しくさせるのなら、仲良くなんかならなければ良かった」と思う王子に、「黄色く色づく麦畑を見て、王子の美しい金髪を思い出せるなら、仲良くなった事は決して無駄な事、悪い事ではなかった」とキツネは答えます。
別れ際、王子は「大切なものは、目に見えない」という「秘密」をキツネから教えられます。
日々、飛行機を修理しようと悪戦苦闘するかたわら、そんな話を聞いていた「ぼく」は、ついに蓄えの水が底をつき、途方に暮れてしまいます。
「井戸を探しに行こう」という王子に、砂漠の中で見つかるわけがないと思いながらついて行った「ぼく」は、本当に井戸を発見します。
王子と一緒に水を飲みながら、「ぼく」は王子から、明日で王子が地球に来て1年になると教えられます。
王子はその場に残り、「ぼく」は飛行機の修理をするために戻っていきました。
翌日、奇跡的に飛行機が直り、「ぼく」は王子に報告へ行きます。
すると、王子はヘビと話をしていました。
王子が砂漠にやってきたのは、1年前と星の配置が全く同じ時に、ヘビに噛まれる事で、身体を置いて自分の惑星に帰るためだったのです。
別れを悲しむ「ぼく」に、「自分は自分の星に帰るのだから、きみは夜空を見上げて、その星のどれかの上で、自分が笑っていると想像すれば良い。そうすれば、君は星全部が笑っているように見えるはずだから」と王子は語り、ヘビに噛まれて砂漠に倒れました。
翌日、王子の身体は跡形もなくなっていました。
王子が自分の星に帰れたのだと「ぼく」は考え、夜空を見上げます。
王子が笑っているのだろうと考える時には、夜空は笑顔で満ちているように見えるのですが、万一王子が悲しんでいたらと考えると、そのうちのひとつに王子がいるであろういくつもの星々がみな、涙でいっぱいになっているかのように「ぼく」には見えるのでした。
こうして見てみると、やはり「星の王子さま」は子供の心を忘れてしまった大人たちに向けたものですね。
王子が訪れた星で出会う大人の存在、王子の惑星で咲く1輪のバラ、王子とキツネとの対話、ぼくと王子との対話など、話を読んで何を思うかは人それぞれ違うかと思いますが、かなり深いメッセージが隠されたお話ですよね。
星の王子さまに描かれている挿絵もすごく素敵なので、ぜひ本を買って読んでみてはいかがでしょうか?
小さい頃に読んだ事がある方も、大人になった今、またあらためて読んでみると昔とは違った印象を持たれるのではないでしょうか。
星の王子さま (新潮文庫) [ アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリ ] |