今日は何の日?
12月20日はシーラカンスの日
約6500万年前に絶滅したはずのシーラカンスが、1938年のこの日に南アフリカの北東海岸のチャルムナ川沖で確認されました。まさに化石が生き返った瞬間です。
1938年に南アフリカで捕獲されて生存は確認されていましたが、学術調査が行われたのは初めてでした。
最近では、インドネシア・スラウェシ島近海の小さな島でも発見されました。
シーラカンスは、シーラカンス目に属する魚類です。化石種も現生種も含めた総称です。管椎目とも呼ばれます。
シーラカンス目は多くの化石種によって存在が知られており、古生代デボン紀に出現して広く世界の水域に栄えましたが、約6500万年前の大量絶滅を境にほとんど全ての種が絶滅しました。
長らくシーラカンス目は全て絶滅したものと考えられていましたが、南アフリカの北東海岸のチャルムナ川沖にて1938年、現生種の存在が確認され、学会および世界を騒然とさせました。
この現生種はシーラカンスの代名詞的存在となっていますが、生物学上の名称は ラティメリア・カルムナエです。
その後、1952年にはインド洋コモロ諸島で同じくカルムナエ種が、1997年にはインドネシアのスラウェシ島近海で別種のラティメリア・メナドエンシスの現生が確認されています。
後者は日本語では生息地域の名を採って「インドネシア・シーラカンス」とも呼ばれるようになります。
シーラカンス目は、白亜紀を最後に化石が途絶え、1938年に至るまで現生種が確認されなかったこと、化石種と現生種の間で形態的な差異がほとんど見られないことなどから、これら2種は「生きている化石」との評価を受けました。
古生代と中生代のシーラカンス目は、かつては世界中の淡水域や浅い海に広く分布していたと考えられています。
体形・体長もさまざまなものが知られ、現生のラティメリア属に近い体形のものから、タイのように体高が高く扁平な体型をした種やアンコウのような丸い形のもいました。
また、復元された全長が3mに達する巨大な種も知られています。
現生のシーラカンス2種はいずれも深海に生息し、魚やイカを捕食していると考えられています。
シーラカンスは8つのひれを持ち、第2背びれ、胸びれ、腹びれ、しりびれには鱗でおおわれた筋肉質の基部があります。
骨格は脊柱をふくめほとんど軟骨でできており、肋骨がありません。浮き袋には空気ではなく脂肪が満たされています。
鱗は硬鱗であり、コズミン層の退化したコズミン鱗であると考えられています。
シーラカンス目は卵胎生であると化石から推測されていましたが、現生種の解剖でそれが証明されました。
雄の外性器は未だに見つかっておらず、交尾については謎のままです。
2013年4月17日、ネイチャーに発表された研究結果によると、シーラカンスの遺伝子の変化は他種に比べて遅いことが分かりました。
研究に携わったブロード研究所のカースティン・リンドブラッドトーは、「地球上には生物が変化する必要がない場所が少ないながらもあり、シーラカンスはそういった環境で生存してきた」と指摘しています。
シーラカンス目の中で最初に発見・分類された化石種は、属名として Coelacanthus の名を与えられました。
これは 古代ギリシア語: κοῖλος (koilos) 「からっぽの」 + ἄκανθα (akantha) 「(植物の)棘、魚の骨」 に由来する合成語で、尾びれの鰭条が中空の構造をもつことによる命名であったといいます。
また、国際動物命名規約によりここから科名 Coelacanthidae が作られ、さらに目名 Coelacanthiformes が命名されました。
通称名としては、同目に属するさまざまな魚を指して英語で coelacanth (シーラカンス) と呼び、日本語でもこれに倣っています。
なかでも、後に発見され一躍有名になったラティメリア属の現生種は、「シーラカンス」の名を担う看板的な存在となっています。
日本語の分類名としては Coelacanthiformes をシーラカンス目、Coelacanthidae をシーラカンス科と呼ぶのに対し、属名 Coelacanthus はいわゆるラテン語風にコエラカントゥス(属)と呼ぶことが多いです。
日本での通称はかつては「シーラカンサス」とも呼ばれていたそうです。