今日は何の日
9月4日はくし(櫛)の日
「く(9)し(4)」と櫛の語呂合わせから、美容関係者らが1978年に制定しました。
美容関係者に対して櫛を大切に扱うことを認識してもらうほか、美容に対する人々の意識を高めてもらうことを目的にしています。
また、9月1日から7日までは全国美容週間とされています。
形状は通常、板状であり、長辺の片方に等間隔の切り込みが入れられています。
切り込みと切り込みの間の部分は歯と呼ばれ、歯に髪を通すことで髪をとく、挿し櫛として簪(かんざし)と同じように髪を飾るといった使い方をします。
古くはダニやシラミ・ノミといったような吸血虫やふけ・埃などを取り除く衛生用具としての側面もありましたが、時代を下がり、入浴や洗髪の習慣が普及するようになると、こういった衛生用具としての役目は小さくなっていきました。
同じく髪をとく道具にヘアーブラシがありますが、櫛が板状であるために歯が1列に並んでいるのに対し、ブラシは歯に相当するピンが毛などで作られていて複数列あり、使用目的によって配列が異なっている、という違いがあります。
櫛の歴史は古く、現代のヘアピンに近い単純なつくりのものを含めると、さらにその時代をさかのぼることになります。
歯をそなえた櫛は古代エジプトですでに広く使用されていたと考えられており、日本においても縄文時代早期(約7000年前)のものとみられる木製櫛が佐賀市東名遺跡から出土しています。
素材は骨や木で作られていたものからツゲ・竹・マユミなど使用に適した木材、鼈甲、象牙、金属、合成樹脂のものなどが登場し、施される技術もより高度なものへと発展してきました。
日本語で櫛は同音の串と同じく、「霊妙なこと、不思議なこと」という意味の「奇(く)し」「霊(くし)び」が語源となっています。
このため呪術的な意味付けが見られ(後述)、他方では女性が髪を梳くことから女性格の象徴的な物品としても扱われています。
語の読みからは「苦死」に通じるため、道に落ちている櫛を拾うことは「苦と死を拾う」ことにつながり、縁起が悪いことと忌み嫌われています。
どうしても拾わなくてはならない時は、足で踏んでから拾います。
贈り物にするときは、忌み言葉として「かんざし」と呼びます。
そのほか「94」を「くし」と読む語呂合わせから、櫛を大切に扱い、人々の美容への認識を高めてもらおうと、日本の全国美容週間実行委員会が9月4日を「くしの日」と定めました。
日本では古来、櫛は別れを招く呪力を持っているとされ、現代の日本人でも櫛を贈答品にしたり気軽に貸し借りするのを嫌がる人は少なくありません。
一方で、魂の宿る頭に飾るものであることから、自らの分身として旅立つ人に手渡しもしました。