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12月16日は紙の記念日

 

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今日は何の日?

12月16日は紙の記念日

 

1875年のこの日、東京・王子の抄紙会社の工場で営業運転を開始しました。


抄紙会社は実業家・澁澤榮一が大蔵省紙幣寮から民間企業として独立させたもので、王子製紙の前身です。

 

 

紙とは、植物などの繊維を絡ませながら薄く平に成形したものです。


日本工業規格 (JIS) では、「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したもの」と定義されています。

 

 

広義の紙は、直径100マイクロメートル以下の細長い繊維状であれば、鉱物、金属、動物由来の物質、または合成樹脂など、ほぼあらゆる種類の原料を用いて作ることができます。


例えば、不織布は紙の一種として分類されることもあります。

しかし一般には、紙は植物繊維を原料にしているものを指します。


製法からも、一般的な水に分散させてから簀の子や網の上に広げ、脱水・乾燥工程を経て作られるもの以外に、水を使用しない乾式で製造したものも含まれます。


紙の用途は様々で、原初の紙は単純に包むための包装用に使われました。

 


やがて筆記可能な紙が開発され、パピルスや羊皮紙またはシュロ・木簡・貝葉などに取って代わり情報の記録・伝達を担う媒体として重宝されました。


やがて製法に工夫がこらされ、日本では和紙の技術確立とともに発展し、江戸時代には襖や和傘、提灯・扇子など建築・工芸材料にも用途を広げました。


西洋では工業的な量産化が進行し、木材から直接原料を得てパルプを製造する技術が確立されました。


19世紀に入るとイギリスでフルート(段)をつけた紙が販売され、瓶やガラス製品の包装用途を通じて段ボールが開発されました。


さらにクラフト紙袋など高機能化が施され、包装用としての分野を広げ現在に至ります。

 

 

世界最古の紙は現在、1986年に中国甘粛省の放馬灘(ほうばたん)から出土したものだとされています。


この紙は、前漢時代の地図が書かれており、紀元前150年頃のものだと推定されます。


次いで古いのは、紀元前140年~87年頃のものとされる灞橋紙(はきょうし)です。

灞橋紙は陝西省西安市灞橋鎮で出土しました。


史書に残された記録では『後漢書』で、105年に蔡倫が樹皮やアサのぼろから紙を作り和帝に献上したという内容の記述があります。


現在は蔡倫は紙の改良者だという説が一般的です。


蔡倫による「蔡侯紙」は軽くかさばらないため、記録用媒体として、従来の木簡や竹簡、絹布に代わって普及しました。


西晋の時代(3世紀)には、左思の『三都賦』を写すために紙の価格が高騰したという記録が『晋書』に記載されており、「洛陽の紙価を高からしむ」という故事成語になっています。


紙はその後も改良され、唐時代(8世紀)には樹皮を主原料とした紙や、竹や藁を原料として混ぜた紙が作られるようになりました。


宋や明の時代(10世紀以降)には、出版が盛んとなったため大量の紙が必要となり、竹紙が盛んに作られました。


明末の1637年に刊行された『天工開物』には、製紙の項目で、竹紙と樹皮を原料とした紙の製法を取り上げています。


紙は羊皮紙や絹に比べれば安かったですが、それでも上流階級を中心に広く使われる高価なものでした。


11世紀の詩人であった蘇舜欽は、自分が勤めていた役所で出た反古紙(書き損じの使い物にならない紙)を売って、その代金で宴会を開いたために横領で糾弾されています。
反古紙であっても高値で取引されていた様子がうかがえます。


清の第5代皇帝は質素・倹約を掲げていたので、重要な公文書などでない限り、紙は裏返して使うように勧めていました。


日本には7世紀までに伝えられたとされています。


紙の製法が中国からイスラム世界に伝わった契機は751年のタラス河畔の戦いで、アッバース朝軍に捕えられた唐の捕虜に紙職人がいたことです。


サマルカンドでは、757年に製紙工場が造られました。


イスラム人は、紙の原料として亜麻を使ったり、サイズ剤として小麦粉から作ったデンプンを使うなどの工夫をしました。


こうした紙はイスラム世界で広く知られるようになりました。


その後、バグダッド・ダマスカス・カイロ・フェズなどイスラム世界の各都市に製紙工場が造られ、その技術は1100年にはモロッコまで伝わりました。


紙は、イスラム世界で主要な筆記媒体となり、ヨーロッパへも輸出されました。


1144年には、当時タイファ(イスラム諸王国)の支配下にあったイベリア半島のシャティヴァに、ヨーロッパ初の製紙工場が造られました。


1102年にはシチリアに、1189年にはフランスのエローで、1276年にはイタリアのファブリアーノで製紙工場が造られました。


これ以降14世紀までの間、ヨーロッパでの紙の供給地は、イタリアとなりました。
1282年には、ファブリアーノで透かしが発明されています。


その後、製紙工場はヨーロッパ各地で造られ、アメリカでも1690年にフィラデルフィアに設立されています。


1450年頃にグーテンベルクにより活版印刷が実用化されると、印刷物が大量に造られるようになりました。


1473年には機械で印刷された楽譜が初めて登場しました。


1488年にはイタリアのソンチーノに作られた印刷所でヘブライ語聖書(タナハ、旧約聖書)が印刷されました。


こうして印刷物が世界中に広がり、紙の需要は増大した一方で、慢性的な紙の原料不足を引き起こし始めました。


ユグノー戦争の終わりに、アンリ4世がナントの勅令を発したことで、多くのユグノーがフランスから亡命しました。


特にオーヴェルニュやアングモアのユグノーが亡命したことは、フランス製の紙を輸入していたイギリス・オランダにも大きな影響を与え、ヨーロッパでは製紙の機械化が進められました。


叩解には、紙の製法がヨーロッパに伝播した時点から、水車を動力源に石臼を動かすスタンパーが使われており、1680年にはより効率的なホランダーが発明されました。


連続型抄紙機は、1798年にはフランスのエンジニアルイ=ニコラ・ロベールによって小型模型が作られ、1826年にイギリスのエンジニアブライアン・ドンキンが完成させました。


一方、紙の原料不足については、特に19世紀には大きな問題となりました。


当時、紙の主原料は亜麻や木綿のぼろでしたが、木材を使うことで解決されました。


1719年にフランスのルネ・レオミュールは、スズメバチが木材をかみ砕いて巣を作っている様子を観察した結果として、木材から紙を作ることができるという内容の論文を発表しました。


ドイツのフリードリッヒ・ケラーとカナダのチャールズ・フェンアティは砕木パルプを作るためのグラインダーを考案し、グラインダーは1846年に実用化されました。


また、1851年には苛性ソーダを用いた化学パルプの製造がイギリスで成功し、1854年に実用化しました。


当時、木材には針葉樹の丸太が使用されました。尚、当時はまだ紙は貴重でした。

 


1844年、イギリスでピール銀行条例によってイングランド銀行が中央銀行として銀行券「スターリング・ポンド紙幣」の発券を独占しました(通貨学派対銀行学派)。


贋金の偽造防止技術として従来の透かし以外の技術が開発され始めました。


20世紀にかけて砕木パルプ・化学パルプともに改良が加えられ、木材を原料とした紙が機械で大量生産されるようになりました。


1940年代以降、クラフトパルプ製造法が確立され、広葉樹を利用できるようになりました。


また、1960年には木材チップをパルプ化する方法が開発されました。


1970年ごろから、酸性紙は50年を超えるような長期保存ができないことが問題となり、硫酸バンドやロジン系サイズ剤を使わず、石油を原料とした中性サイズ剤を使う方法が考案されました。


同じく1970年代ごろから、強度を高める目的で従来のデンプン類に代えてポリアクリルアミドを紙力増強剤として使う方法が考案され、また、公害防止のために、排水中のBOD、COD、微細固形物を削減する取り組みが進められ、ポリアクリルアミドを歩留まり剤や凝集剤として使うことが広がりました。


1980年代以降、古紙のリサイクル比率が高まり、古紙に付着している印刷インクを除去する脱墨剤として合成の界面活性剤が応用されるようになりました。

 

 

コンピュータなどの電子技術が普及すれば、紙を使わなくなるペーパーレスが実現し、印刷や配布、紙の保管などのコストを削減できるだろう、とする予想がありました。
しかし、コンピュータが高度に普及した現代においても、紙の使用量は減少していません。


紙に代わるデジタルドキュメントシステムで、移行の手間などやはり大きなコストが発生すること、紙のアフォーダンスを再現することが難しいことなどが原因としてあげられています。

 

 

紙は、環境問題で議論の対象となることが多いです。


日本国内で生産される紙の原料の約6割は古紙ですが、残りの約4割は木材などを原料としたバージンパルプです。


バージンパルプの原料には、丸太を製材に加工する際に発生する残材(端材)なども使われますが、丸太を2~3cmの大きさに砕いた木材チップが用いられています。


木材チップは国内産のものもあるが、日本国外から輸入されるものの方が多いです。


木材チップの原料には、主にユーカリやアカシアなどの植林木が用いられています。


しかし、植林を行なうためにその土地の天然林を伐採している事例もあるとの指摘があります。


また、木材チップの原料の一部には天然林から伐採された丸太も用いられており、環境団体からは、天然林の伐採対象には生物多様性が豊かな原生林も含まれていることが指摘されています。